- 2012年02月09日
- カテゴリ:ビジネス
続・一泊1,000円のインパクトと価値 (泊まってきました)
先日投稿した一泊1,000円の記事が思いのほか反響を呼んだので、後日談を書こうと思い実際に泊まってきました。そこで体験したこと、考えたことを書きたいと思います。
まずはチェックイン。前払いなのでこの時に1,000円払います。ちょっとドキドキします。フロントでは「Facebookからのご予約ですので1,000円になります」と、きちんと施策内容が共有されている様子。もちろん、本当に1,000円でした。
滞在中は至って快適に過ごせましたので、これで1,000円というのはすごいなあと思ったのが率直な感想です。ハウスキーピングなど、どんなに安くしようと思っても宿泊したからには一定の費用が発生しますから、普通に考えると元は取れていないと思います。自社施設を活用した原価プロモーション(つまり、赤字相当額は販促費としてみているということ)として勘定しているのでしょう。
前回の記事を書いた1/26時点では553名の「いいね!」が付いていましたが、直近では4,000名を超える数が付いているようです。この施策でわずか二週間前後で3,500名の純増獲得。PVなどではなく、実数として4,000人に対するコンタクトのパイプを作ったのですから、すごいなあと思います。
※第二弾のキャンペーンを追加実施したようですが、こちらも即完売したようですね。
さて、本題はここからです。「自分だったらどうするか」を書きたいと思います。なお、考える前提として一泊1,000円という金額は崩さないものとします。
この金額(数字)、稼働率を確保(空いている部屋を埋める)するためだけとしてはあまりにも採算が厳しい(合わない)。一方で1,000円という金額が持つインパクトは大きいので、すぐに完売するであろうことは容易に想定できる。おそらく、Facebookにも多数のいいね!が付くことだろう。しかし、刺激が強すぎて、このままではバーゲンハンターには評価されるかもしれないが、通常のリピーター客を確保していくのは難しいかもしれない、という懸念がある。
そこで、この施策を実施する目的をどこに置くか。
「1,000円なのにここまでかというくらい、もてなされたサプライズ」を提供し、真のファンを獲得すると共に、その内容をソーシャルメディアで繋がっている人々(友人や知人)を通じて拡散させ、「京都に行くなら一度は泊まってみたい」と思わせるポジションを構築し、新規顧客の開拓にも活用する」とします。この目的達成のために欠かせないのは、ホテル館内における現場の理解と協力です。
ただ泊まってもらうだけでは「1,000円で安く泊まれてラッキー!!」と思ってもらうことはできても、通常価格で再度宿泊してもらえるかどうかは難しいでしょう。
ホテルマンやホテル住まいしている人を除き、一般人にとってホテルは「非日常」の空間です。ここでどれだけ心からもてなされたかが「また泊まりたい」と思ってもらえるかどうかの要素となります。
自分が妄想する「1,000円なのにここまでかというくらい、もてなされたサプライズ」を以下に記しますので想像してみて下さい。
■チェックイン編
・ホテルの玄関先で「Facebookからご予約下さった舘田様ですね?お待ちしておりました」と声をかけられる。
→事前にFacebookの顔写真とプロフィールをチェックして共有していればできるはず。
・フロントで予約名を告げると、スタッフから「このたびは当ホテルに「いいね!」を押してファンになって下さり誠にありがとうございます」とお礼を言われる。
・チェックインの手続きをしている最中に奥から支配人(遅い時間はナイトマネージャー)が現れ、さらに挨拶をしてくれる。
・今日はせっかくお越しいただいたので特別に…と、支配人から明朝の朝食チケットがプレゼントされる 。
■滞在編
・誕生日または誕生月の場合、お祝いのメッセージカードとギフトが部屋に届けられる。
→Facebookで誕生日を公開している人であれば可能。
・スパの体験利用ができる。 →スパじゃなくてレストランやバーでもいいけど、要はホテル館内を「泊まる以外に利用体験(ここ重要)」してもらう。 (宿泊客のプロフィールに応じて提供するサービスを変えてもいいし、どれか一つを自由に選ばせる、ということもできる。全部タダの王様コースは目的上不要)
■翌朝編
・朝食時に再び支配人が現れ、昨夜の滞在のお礼と共に感想を聞き出す。
■チェックアウト編
・Facebookのファン限定メンバーズカード(秘密のFacebookページへのアクセス権が書かれたカードでもよい)が手渡され、今後のリピート利用時に各種優待特典を受けられる旨の説明を受ける。
・「またのお越しを心よりお待ちしております」 という声掛けを忘れずに実施し、玄関口まで見送りをする。
他にも色々とアイデアがあるのですが、まぁ、こんなところで。
要は「1,000円だからこんなものかな」と思わせてはいけないし、「1,000円だったらまた泊まってもいいかな」ではダメで、「1,000円じゃなくてもまた泊まりたいな」と思ってもらわなければ意味が無いということです。
そして、そのためには、「幾らで泊まるかが重要なのではなく、幾らで泊まっても常にサプライズとおもてなしが充実している、また来たいホテル」と思ってもらわなければならない、ということです。そのためには、期間限定や数量限定ではない、常にスタンダードなサービス水準とオペレーションが備わっていなければ、お客様の喜びと感動は半減してしまうでしょう。Facebookはあくまできっかけに過ぎないのであって、普段のお客様に対しても同様のサービス水準が提供できる受け皿があって、初めて劇薬的な施策が短期間で多数のファンを獲得し、リピート売上に貢献するということなのだと思います。
書き記したことは非常に細かいことで、手間はかかりますがたいした支出を必要としません。
「価格(最安値ではないという意味で)以外で選ばれる」「指名される」「ファンが次のファンを連れてきてくれる」存在になるためには、ソーシャルメディア上で幾ら露出しても、いいね!を集めても、ホテルの「全館体制」が整っていなければ打ち上げ花火のようにすぐ火が消えてしまいます。
これらは、あくまで僕の妄想です。でも実現不可能なことでは無いはずです。そもそもこんな記事を書いた背景として、僕はホテルが本当に大好きなんです。この記事はすべてのホテル関係の皆様に向け、愛と期待を込めて書き記しています。もっともっと、ホテルは素敵な場所として、みんなに「泊まりたい!!」と思われる存在になれるチャンスがたくさん潜んでいます。
そして、このホテルがこれから実際にどう施策とサービスを展開していくのか、興味深く注目していきたいと思います。





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